健康会計 PDF 印刷 Eメール
組織活性化 - 健康会計
2008年11月25日(火曜日) 00:00


■「社員の健康を維持する」という先行投資


 日本企業のこれからの大きな経営課題のひとつが、「社員の健康」です。日本企業は、法的義務として社員の安全と健康に配慮しなければなりません。大切なのは、企業で一番重要な経営資源である社員が、最高の状態で力を発揮できる仕組みを作り上げることです。

 この分野は、一般的に産業保健分野と呼ばれています。この分野の情報である産業保健情報は、実は貴重な経営情報なのです。社員の健康状態は企業や職場の単位で見てどうか、心身の健康に影響を与えているのは何か、どこをポイントに改善していくと課題が解消され社員の健康が増進していくか。これらを個人情報保護に配慮した上で捉え直し、さまざまな属性で分析し客観的に評価するのが、産業保健情報です。また、実際にどのようにやっていくのがよいか検討すること、それが産業保健戦略です。
      
 これらにかかるお金は全て、最終的には企業業績向上につながっていきます。言わば、このお金は費用ではなく投資なのです。これらをしっかりと客観化し合理的に示していくこと、それが「健康会計」だと解釈しています。

■企業の社会貢献度合いを示す新たな指標、健康会計


 私達株式会社ロブは、いろいろな企業と一緒に社内の健康対策に取り組んでいます。そこでわかるのは、企業の健康面の課題はメタボ対策とメンタル対策だということです。メタボ対策は生活習慣病対策であり、その推進は基本的に定年退職後となる老年期に医療費削減として効果が出てくるものです。「健康会計」に即効的に表示可能な効果は、ある程度限定されています。それに比べメンタル対策は、まさしく企業の経営や業績、現在の医療費に影響を与える問題です。精神疾患で休職する社員は急増しています。休職急増に伴う傷病手当金の急増は、健康保険組合の財政を大きく圧迫しています。重要な社員の休職による企業の逸失利益、およびそれに対応する上司・人事担当者の費用も換算すると、莫大な金額になっていきます。

 メンタルの個別対策は非常に重要です。ただ、企業という観点から長期的に効果を持続させるには、組織的なメンタル対策が必要なのです。社員のストレスを分析しながら、組織課題、ビジネスモデルや業務フロー、企業風土等の改善を行っていくことが肝要です。これらの改善は、そのまま企業の経営改善、収益向上にもつながっていきます。メンタルとメタボは背中合わせだと考えています。実は、メンタル面への支援はメタボの面でも効果が出てくる可能性があるのです。
      
 私達株式会社ロブは、企業に組織ストレス調査MSI等さまざまな手法を使って産業保健情報を収集・報告し、産業保健戦略立案・実施を支援し、効果測定・評価に取り組んでいます。

 産業保健情報が、企業にとっての新たな経営情報として、企業の業績向上、社員のQOL向上に寄与します。それが「健康会計」に変わると、投資家の新たな投資情報として、CSRの観点から企業の社会貢献度合いを示す指標として大きな役割を果たすことになるでしょう。経済産業省と厚生労働省が推奨する政策として、世界初の「健康会計」は日本企業の将来にも大きな影響を与える可能性を秘めています。


参考サイト

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経済産業省>経済・事業環境整備>注目情報 → 健康会計

最終更新 ( 2010年8月25日(水曜日) 18:51 )